だす

だす
I
だす
(助動)
〔「でやす」の転。 近世上方語〕
軽い丁寧の意を持った断定を表す。 です。

「どいつも銭のねえふう〈だす〉/洒落本・中洲之華美」「夫だがいまつからあ半ん端〈だす〉/洒落本・真女意題」

〔現代では大阪その他の方言として用いられる〕
II
だす【出す】
〔「いだす」の転。 中世頃から用いられた〕
(1)中にあったものを外へ, または, 人に見える所に, 移す。
「冷蔵庫から牛乳を~・す」「かばんから書類を~・す」「ゴミを家の前に~・す」「うみを~・す」「銀行へ行ってお金を~・して来る」
(2)外の方へ出っぱらせる。 突き出す。
「脈をみますから左手を~・してください」「窓から顔を~・す」「庇(ヒサシ)を深く~・す」
(3)人に見える場所に設置・掲示・展示する。
「へいに掲示を~・す」「見本をウインドーに~・す」「看板を表に~・す」
(4)おおわれていた物を露出させる。
隠す
「白い歯を~・して笑う」「真相を明るみに~・す」「木が芽を~・す」
(5)世の中に広く発表する。

「同人誌を~・す」「新製品を~・す」「広告を~・す」「一〇〇万円寄付しますが, 私の名前は~・さないでください」

(6)乗り物を出発, または運行させる。

「臨時列車を~・す」「迎えの車を~・す」「波が高いので船を~・すことができない」

(7)店舗をある場所に設ける。

「駅前に店を~・す」

(8)人や動物を内側から外へ, またはよく見える所に, 移す。
「子供を外へ~・す」「犬を庭に~・す」
(9)人をいつもいる場所から, 離れた所へ行かせる。

「息子を東京へ~・してやる」

(10)自分の子供を, 他の家族の一員となるよう家族から離れさせる。 送り出す。

「娘を嫁に~・す」「息子を奉公に~・す」

(11)学校を卒業させる。

「大学まで~・した」

(12)人々を接待するところに仕事に行かせる。

「娘を店に~・す」「若い子をお座敷に~・す」

(13)多くの人々が見たり聞いたりするものに登場させる。

「子供をピアノの発表会に~・す」「社員をテレビに~・す」「絵を展覧会に~・す」

(14)人の前に連れて来る。

「『社長を~・せ』とわめいている」「責任者を電話口に~・してください」

(15)客などに, 飲食物や金品を供する。 与える。

「来客にお茶を~・す」「客におしぼりを~・す」「社員にボーナスを~・す」

(16)金を支払う。 (ア)代金を支払う。

「一万円~・して買ったネクタイ」「学資を親に~・してもらう」(イ)ある事業のための費用を負担する。 出資する。 拠出する。 「会社設立の資金を~・す」「みんなで金を~・す」

(17)物をしかるべき所に渡す。 差し出す。 提出する。

「スーツをクリーニングに~・す」「入学願書を~・す」「答案を~・す」

(18)手紙・小包などを発信・発送する。

「恩師に手紙を~・す」

(19)活字になったものや話などの中に登場させる。

「家庭内のことを職場で話題に~・す」

(20)ある集団が役員を選出する。 また, ある場所が, 結果として, 世の中で活躍している人を生みだす。

「本県からは総理大臣を二人~・している」「クラスごとに PTA の役員を~・してください」

(21)論理の結論や根拠を明らかにして提示する。

「まだ結論を~・すには早すぎる」「この問題に明確な答えを~・すのはむずかしい」「各自, 意見を~・してください」「そんなことを言うなら証拠を~・せ」

(22)感情を表面に表す。

「彼女はすぐに感情を顔に~・す」「不満を口に~・す」

(23)内に秘められている能力を発揮する。

「さあ, 元気を~・して」「あまりスピードを~・すな」「もっと大きな声を~・しなさい」

(24)体内にある液体をそとにあふれ出させる。

「涙を~・す」「汗を~・す」

(25)ある現象や事態を発生させる。 結果としてそうなる場合にもいう。

「火事を~・す」「熱を~・す」「赤字を~・す」「一〇人の怪我人を~・した事故」「余りを~・す」「新記録を~・した K 選手」「このピアノはいい音を~・す」

(26)それらしい雰囲気や特徴が表れるようにする。

「もっと感じを~・して台詞(セリフ)を言ってください」

(27)命令・依頼などの指示・働きかけを行う。
「問屋に注文を~・す」「生徒に宿題を~・す」「部下に指示を~・す」「気象台が大雨警報を~・す」「部長がこの企画にゴー-サインを~・した」
(28)(動詞の連用形の下に付いて)(ア)…し始める意を表す。

「車が動き~・す」「雨が降り~・す」(イ)外へ移動するよう, または外へ現れるようにする。 「道路へとび~・す」「外へはみ~・す」「姿を照らし~・す」

〔「出る」に対する他動詞〕
‖可能‖ だせる
︱慣用︱ 顎を~・足を~・顔を~・口を~・地金を~・舌を~・尻尾を~・駄目を~・ちょっかいを~・角を~・手を~・暇を~・襤褸(ボロ)を~/噯(オクビ)にも出さない
出すことは舌(シタ)を出すのも嫌(キラ)い
非常にけちであることのたとえ。
III
だす【堕す】
※一※ (動サ五)
〔サ変動詞「堕する」の五段化〕
「堕する」に同じ。

「通俗に~・す」

※二※ (動サ変)

Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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